コロナで人々の意識も、暮らしも、働き方もガラッと変わった。

特に都市部では、オフィスに通勤してオフィスで働くということが、もはや当たり前ではなくなってしまったいま、人は、より良いクオリティオブライフを求めて都市からの脱出を模索してしている。

かねてからホリデー地として圧倒的な人気を誇るバイロンベイもご多分にもれず、そのナチュラルでスローなライフスタイルに魅了されて世界中から移住してくる人が後を絶たない。かく言う私も、そんな一人だが。

景気低迷、失業率の増加などで不動産価格の下落も危惧されたのも束の間、バイロンベイを含むオーストラリア東海岸沿の街は、どこも移住者が増え、圧倒的な買い手市場。すでに不動産が右肩上がりだったバイロンベイも、ここにきて、数億ドルするような中戸建てが内見せずに、バーチャルツアーのみで、都市部の富裕層が即日買い上げる、という異常な事態になっています。ちなみに、バイロンベイ中心部の戸建て、平均的な4ベッドルームの中古で、最低平均価格は、1.6ミリオンドル(日本円で約1.3億円)と、庶民には到底手が届かない価格になっています。最近のセールス記録では、リップカールの創始者が高級住宅街のワテゴーズビーチの邸宅を22ミリオンドルで購入したしたとのニュースも。こちらのお宅、1994年に売買された時は、1.3ミリオンドルだったというから、26年間のうちに、16倍も値上がりしたわけです。まあ、誰が予測したでしょう。

そもそも、バイロンベイはそれほど大きな町でもなく、高速から町に入る道は1車線で、いつも渋滞しているし、一時的な観光客の増加に対応できるインフラや公共施設もいっぱいいっぱい。加えて、国内のホリデー需要に応えるべく、AIRBnbも急増、全戸数の20%とも言われる家屋が短期滞在者向けのアコモデーションとなっているため、被害を被るのは、ローカルの人たち。

賃貸においても、メルボルンやシドニーから是が非でも移住したいお金持ちたちが、家賃の半年前払い、あるいは提示の家賃より多めに払うなどして住まいを獲得、ローカルたちが押し退けられている現状があります。あるいは、住んでいた家が突如、売りに出される、オーナーが戻ってくる、オーナーの家族が移り住む、など事情は様々ですが、家/部屋を数週間後には追い出される、という非常(非情)な事態が頻繁に起こっています。原則、90日前の退去通達ですが、個人間やシェアハウスだと賃借契約を結んでいない場合も多く、私たちの友達にもそんな被害者が一人や二人ではありません。不動産屋が紹介する賃貸物件の内見にいくと、100人以上の応募者がいる、というのもざらです。

そして、ハリウッド俳優やセレブの移住も増えています。有名なのは、クリス ヘムズワース。20億円以上かけて建築したショッピングモールのような大豪邸は、ローカルたちの強いバッシングを受けました。最近では、ザックエフロンも移住もしてきて、そうしたセレブに憧れるインフルエンサーもどっと増えているような気がします。

個人的には、セレブネタやゴシップには興味ないけども、新規移住者たちのマナーの悪さはよく耳にするし、コミュニティーに溶け込むマインドがあまりないようです。悲しいのは、ローカルたちが長年築いてきたカルチャーや暮らし、あたたかいコミュニティマインドが壊れかけているような危機を感じます。もちろん、良きインテンションを持ってこの土地にやってくる人はたくさんいるでしょうが、昨今の移住ラッシュでお金持ちたちは、果たして何を求めてやってきたのでしょうか。

美しい自然や、開放感溢れる自由でオープンな空気、アーティスティックでクリエイティブなコミュニティに惹かれたからではないでしょうか。そのあたたかいコミュニティが、いま薄れつつ、繋がりが希薄になっているような気配さえ感じます。

移住したいと思う人の意思を止めることもできないし、移住してきた人たちを邪険に扱ったりするつもりは全くないけど、私たちにできることは、せめて、ローカル(今となっては、何がローカル??の定義なのかわからないけども。。)の暮らしとカルチャーをお互いサポートしつつ、いまある繋がりをより強固なものにしていくしかない。それは、ファーマーズマーケットで地元農家から買い物することかもしれないし、友達が経営するレストランで食事することかもしれないし、友達が手作りするものやアート、作品などを買うことかもしれない。あるいは、いつもごった返すサーフスポットの駐車場を顔見知りのローカルがくるまで待ち、譲る、という些細な気配りかもしれない。間接的な行為かもしれないけど、そうした小さな行動が、一人ひとりのコミュニティ帰属意識を高めていく気がする。

あるいは、移住してきた大金持ちの一人でも、それだけ大金が余っているなら、コミュニティハウジングや低所得者層向け、シングルマザー向けの賃貸など、コミュニティに貢献するプロジェクトを立ち上げてくれたらいいのに、と思うのは私だけではないはず。

さて、久々に真面目なネタを書いて、前置きが長くなってしまったけど、そんな不動産クライシス真っ只中、我が家もまたもや引っ越し。といっても、今度は、パームコテージと同じ敷地内にある、より広めのコテージへ。こちらは完全独立タイプでだいぶ広いし、アウトドアエリアも広くて眺めも最高。友達も気兼ねなく呼べるし。

  

  

 

  

   

もともと住んでいた友達が家を買って引っ越ししたので、オーナーが入居者を募集する前に、カップルである私たちを優先して声がけしてくれた。なんともありがたい話です。家賃も少々高めだけど、こんなチャンス、滅多にやってこないし、人生のステップアップ、アップグレードと気合入れて、クリスマス翌日、30メートル離れた新居に手運びで引っ越ししました。

キャラバン暮らしから比べてたら広さは、10倍ぐらい、笑。相当なアップグレード。キッチンもガス、オーブン完備で使い勝手抜群!料理も捗ります。

   

やっと、理想の住まいにたどり着けた気がします。しばらく引っ越しはいいかなあ。

 

     

すでに、いろんなインスピレーションも湧いて、ポジティブな予感がいっぱい。ここからどんな暮らしが始まるか楽しみ!