今年8月に、実に4年ぶりに日本に帰りました。
あっという間の4年。
帰りたいと思ったことは一度もなかったけど、日本が恋しくなり始めていたのも
あったし親にも顔を見せつつ、ずっと日本に行きたかったという彼を連れて帰る
いい機会だと思って、1ヶ月帰省してきました。

久々のニッポン、最高。
ご飯はなんでも美味しいし、おもてなし精神は別格だし、
温泉もあるし、時間通りにきっちりなんでも事が進むし。

旅の様子はまたご報告するとして(まあ、話が前後しますが)、
日本に行く前から、
日本でいいアイディアを見つけてオーストラリアで商売しよう!」
と意気込んでいた彼(笑)

かねてから私も、日本のよきカルチャーをオーストラリアに紹介、
展開できたらなあとは思っていたので、アンテナを張りつつ。

そして、彼がはまったのが、

たい焼き

たい焼き、かよ!!!

あの、可愛らしい、でもすこし寂しげなたい焼きくんがお気に召たようで、
これをバイロンに持ち帰ろうという話に。
最初は、冗談だと思っていて笑っていたけど、
実は昔からフードトラックをやりたかったらしく、
結構真面目に考えてるっぽく、私も面白半分で話に乗る事に。

旅のいく先々では美味しいたい焼き屋をリサーチして、
食べ比べ。日本の本場の味を見極めたい、と研究熱心なようで。
皮の薄さから、餡子の量、焼き方なども観察
1日3個とか食べてました。

東京の問屋街、合羽橋へも数度出向いて、業務用のたい焼き機を
リサーチ。よくお祭りや屋台で見るような、一気に10匹とか
焼けるような業務用の焼き版。

これがけっこう厄介でして、ガス式になっているため
海外への輸出&輸送は禁止されているとのこと。

ならば、上の焼き型だけど購入して、
オーストラリアで下のガス台の部分は見繕うという
こともできなくない??

焼き型も種類はいろいろあるけど、
私たちは、オススメされた、フッ素加工されていない
アルミ式の蜜もミツモト式12連にすることに。

でも、果たして、このたいやきビジネスはうまくいくのか、
採算は?材料は?などなど、当然のごとく質問&不安は出てくる、でてくる。

とりあえず、たい焼きを食べることに専念しつつ、
採算のシミュレーションをしながら、
オーストラリアに戻ってきました。

その後も、いろいろ話し合って、それなりに深く考えた結果、
いっちょ、やってみようじゃあないかと!

一時は、メーカーが製造中止したため、焼き版は入荷未定との連絡も受けて
焦ったけど、どうにか確保できて、日本から屋台の装飾品やら
調理道具など一式揃えて取り寄せて、準備を進めました。

ローンチの目標日は、2年ぶりに開催される
バイロンベイジャパンフェスティバル
日本人有志によるお祭り。
これ以上の最高な場所でのデビューはないでしょう。
でも、味にうるさい(&たい焼きを知っている)日本人の口に
あうように、レシピも日々研究。

ほんとうは、グルテンフリー、卵なしのビィーガンで
生地を作りたかったのだけど、どうしても、卵がないと
あの香ばしいカリッとした黄色の焼き色がつかないのと、
グルテンフリーの粉を使うと、モチモチした食感になってしまう。

なので、あえて、オーソドックスに、材料は、
小麦粉、卵、ソイミルク(乳製品フリーにはしたよ)、水、きび砂糖。

なかでも苦戦したのは、こしあんづくり。
こちらの小豆は日本のそれとは異なるようで、
どうもうまく、煮えない。

和菓子の本をみたりして研究しつつ、
数回試行錯誤の結果、なんとかなめらかな
こしあんに近い感じに。
ポイントは、小豆を圧力鍋で茹でたあとに、冷水でさらして
濁り水をできるだけきったあと、きび砂糖と米飴を
沸騰させて、そこに小豆を入れて再び煮詰める。
仕上がった小豆は、最終的にフードプロセッサーで
撹拌してスムーズに。必要ならソイミルクを足します。
私はけっこう甘さ控えめにしてます。

私がレシピを担当している間、彼は屋台まわりとビジネスの
ブランディングやクリエイティブのデザイン。

可愛いロゴは、彼の手彫り作品を、グラフィックデザイナー友人
みっちゃんがロゴ化してくれました。

看板も彼のお手製、手書き。

 

 

 

まさに、「およげ、たい焼きくん!』

日本からは、特注でデザイン発注したノボリ。

Tシャツとキャップにロゴもプリントして、
それとなく見栄えする屋台になってきたかな。

肝心のたい焼き焼き版は、ジェットスターパイロットのマークに
頼んで運んでもらえて、郵送代も浮いてなんともラッキー。
持つべきものは友達です。

でも、次のハードルは、焼き版にあうガス台を作る、または買うこと。
業者に見積もり依頼したら、2000ドルと言われたので、
なんとか自分たちで作れないかと模索している最中、
リサイクルセンターで見つけた、30ドルの中古BBQグリル!!

なんと、着火の位置がぴったり焼き版と重なる〜〜〜!!!
もちろん、BBQグリルそのままでは使えないから、
保健所もパスするように、周りをステインレスで加工して、
溝を埋めて、と改造工事は彼の仕事仲間のオリバーも手伝ってくれて、
立派な?たい焼き機の完成!

お金をかけなくても、アイディア次第でなんとかなるものです。

額に入れて飾った習字は、書道家りえちゃん作。

こうして、みんなに助けられて、いろんな人のスキルが結集されて
少しつずつ形に。

そのほかにも、細かい作業は山積みで、
営業許可書の申請、食品衛生士の資格取得、
銀行口座の開設、カード決済の対応、
保健所のチェック、などなど、フェスティバル前日のギリギリ前夜まで
バタバタの準備。お互い、フルタイムでほかの仕事しながらの
ビジネス立ち上げはほんとうに大変だった。
しかも、日本から帰国して、フェスティバルまでは
1ヶ月ちょっと。超特急で準備しましたよ。
二人とも、ストレスたまって、具合悪くなって、
たい焼き食べすぎで、なんどか吐いたし(笑)

そして、いよいよ迎えたフェスティバル本番。
前夜も生地が膨らみすぎるという謎のハプニングがあり、
当日の朝に仕込みをし直してからの出店。
もうはじまる前から、私はすでに疲労困憊。
おまけに、フェスティバルのオープニングとステージの司会進行もあって、
彼も彼で初の試みに超不安そう。

幸い、心優しいボランティアのゆうちゃんとケンシン君に
手伝ってもらいながら、なんとか乗り切りましたよ、ほんと。

フェスティバル自体も相当盛り上がって、
たくさんのお客さんで賑わっていました。

たい焼きも美味しいって言ってたくさんの人が買ってくれて
嬉しかったなあ。

中身は、定番のあんこのほか、サマースペシャルとしてマンゴーライムと
甘くないバージョンでチーズ、の3種類をご用意しました。
ジャパニーズフェスティバルだけあって、一番人気はあんこ。
マンゴーも外人、子供たちには人気でした。

なにはともあれ、無事に初出店を終えて、一息。
目標金額に到達しなかったけど、デビュー戦としてはまずまず。

A dream you dream alone is only a dream.
A dream you dream together is reality – Yoko Ono.

二人で描いて、二人で叶えた小さなプロジェクト。
それぞれのスキルとパッションを融合させれば
いろんなことがカタチにできるはず。

日々、仕事で忙殺されがちだけど、
クリエイティビティを大切に、
来年はこうしたコラボプロジェクトをどんどんやっていきたい。

次回の出店は、2020年1月8日のBYRON BEACHSIDE MARKET です。
たい焼き、食べにきてねー!