エコやロハス(いまではだいぶ死語?になってしまった)
グリーン、サステイナブル、オーガニック、食育。
こういったキーワードも日本ではだいぶ市民権を得て、人々の環境意識も高まり、
単なる流行りではなくて暮らしの一部として定着しつつある中(と願いたい)
「パーマカルチャー」の創始者、ビル・モリソンが亡くなった
という知らせにはたくさんの人が悲しんだのではないでしょうか。
「パーマカルチャー」とは、エコロジカルデザイン・環境デザイン分野の用語であり、
自然のエコシステムを参考にし、持続可能な建築や自己維持型の農業システムを取り入れ、
社会や暮らしを変化させる総合的なデザイン科学概念、とウィキペディアに定義されていて、
私は個人的にはビルにはお会いしたことがないけど、2006年に初めてパーマカルチャーという
言葉を耳にし、その仕組みやライフスタイルを実践的に学びたいと思って
オーストラリアで1ヶ月間ウーフし(農作業や家事手伝いをするかわりにホストファーマーの
家にタダで住まわせてもらいながら3食付きという働き方でオーストラリアやニュージーランドでは
こうした旅のスタイルをする人も多い)、家や食料、エネルギーなどをなるべく自給自足、
自給自立させ、自分の暮らしの身の回りをできるだけ環境に負荷をかけずに
サステイナブルにデザインするという実例を目の当たりにし、
そこで豊かに暮らす素敵な人にたくさん出会いました。
その衝撃の出会いと学びから、「いつか私もオーストラリアでそんな暮らしを実現させたい」
と強く想うようになり、9年かかって、ようやくその一歩を踏み出せたわけですが。。
実際私がその最たる例だったように、パーマカルチャーという考え方や
生き方そのものは、人生観を変えちゃうぐらい、世界中の人達に大きな影響を及ぼしたと思います。
約30年間、ビルモリソンは世界120カ国以上で講演やワークショップを行い、
彼の考え方に賛同した世界中の人々が自国でパーマカルチャーを実践し、
その活動に影響を受け、自然とともに、自然に寄り添い地に足のついたサステイナブルな
暮らしを志向する人の輪が広がっていきました。
その功績はいまでも色濃く根付き、ここバイロンベイでも素敵な暮らしのデザインを
している人たちがたくさんいます。
先日、バイロンベイから車で20分山奥に入った町、
マランビンビーで開催されたタイニーハウスエキシビションに
行ってきました。
アメリカで始まったタイニーハウスムーブメント。
日本語でいうと、タイニーハウス=小さな家。
日本でもじわじわ人気沸騰中だとか(もっとも日本はそもそも土地が
ないから家のサイズも諸外国の標準からいうとタイニーかも
しれないけど、笑)
greenz.jpの元同僚、鈴木菜央くんのトレーラーハウス暮らしもかなり素敵です。
小さな家は、自ずとスペースがないから、設計やデザイン、
家具のセレクション、エネルギーの使い方も十分に考慮する
必要があって、なるべくシンプルにモノを所有せず、
でも厳選され、吟味された質の高い暮らしは、
大量生産大量消費型の社会へのカウンターカルチャーとして
注目を浴びているのでしょう。
タイニーハウスエキシビションでは、バイロンベイ近郊の
建築家、デザイナー、設計事務所、一般の人、高校生
小学生などによるデザインの展示があり、
来場者数は1000人超え、創意工夫をこらした
デザインに注目が集まっていました。
そのなかでも、友人たちが立ち上げた
サステイナブルな建築設計事務所BALANCED EARTHの
実例、ヘンプハウスはピープルズアワードを受賞し
ヘンプのおうちへの関心の高さを感じました。
ヘンプ(麻)は、いまこちらでも最も注目されている建築資材で、
麻の茎と石灰の一種を混ぜ合わせて、乾燥すると非常に固くなる建築的に優れた性質だけではなく、
住まう人にとって心地よい、癒やしの効果があり、古代より麻が神聖な植物とされてきた
所以かもしれません。
そのほか、ヘンプは、100〜120日で成長し、毎年収穫可能な生産効率の高い植物と言われ、
無農薬の栽培が可能だそうです。だから人にとっても環境にとっても優しい植物なのですね。
また、耐火性、耐断熱性、耐水性、耐害虫性、吸音性、調湿性、耐久性に優れ、
シックハウスとは無縁。日本でも昔から使われてきた伝統的な建材であり
下記の映像を見ていると、どこか懐かしささえ覚えます。
HEMP HOUSE from Keita Ikawa on Vimeo.
必要最低限、厳選されたモノに囲まれた暮らしは
シンプルで、豊かさのモノサシがかわってきます。
仕事や家族構成、生活のリズムによって、自然の中で暮らすという選択は誰にでも
できることではないかもしれないけど、身の丈にあった暮らし方、
無理なく、豊かに暮らす方法はたくさんあるんですね。
近々、ヘンプを使って漆喰の壁をつくるワークショップを
企画したいと思っているのでどうぞお楽しみに。