日本から素敵なゲストがやってきました!
J WAVE Lohas Sunday ナビゲーターのKokoちゃんこと、丹羽順子ちゃん。


バイロンのファーマーズマーケット(毎週木曜7時〜11時開催)でお買い物!

多忙なスケジュールとラジオ収録の合間をぬって
家族を連れて12日間のトリップにきたわけだけど、相変わらず
精力的に、あちこち飛び回っていました(詳しくはKOKOちゃんのブログをどうぞ)

そんな彼女に便乗して、小旅行してきました。
バイロンベイから内陸に1時間ほどいった小さなまちへ。
そこは、オーストラリで3番目に観光客(1位シドニー、2位グレートバリアリーフ)
が多いといわれる、虹の国ニンビン。

ニンビンは、1973年に行なわれたアクエリアス・フェスティバル
(オーストラリア版WOODSTOCK)にオーストラリア中の学生やカウンターカルチャー
に傾倒していた人たちが1万人以上集まり、そのまま居着いてしまったことで、
今の街の原型が出来たとか。

マリファナの合法化のための様々な情報を提供していて、ヒッピーカルチャー満載。
といっても、メインストリートは端から端まで5分もかからないほど
コンパクト。街中には、ヘンプバー、ヘンプ大使館、ヘンプ博物館があって、
とにかくオープンでちょっと怪しい(危ない?)雰囲気たっぷり。


Hemp Embassy のオーナーにインタビューするココちゃん。J WAVEで レポートするらしい

マリファナ合法化を求める署名や

5月に行われるフェス(Mardi Grass)のポスターには合法化に向けて
動き出している米国オバマ大統領がコラージュされていたり。

とにかく自由で、Take it Easy がここでのライフスタイル。


老舗のレインボーカフェ。豆腐ラップサンドをテイクアウトで頼んだけど30分以上待たされた!

ココちゃんの取材に便乗しながら
やってきたのは、ニンビンの中心街から車で5分、
パーマカルチャーコミュニティのJarlanbah Garden.

1994年からここで暮らす日本人女性のYokoさんと旦那さんのNigel
の素敵なおうちに遊びにいってきました。

シドニーから移住してきたとき17年前、植わっていた木はたった2本!
いまでは、見事な植生。たくさんの果樹が植えられています。

家のデザインには和のテイストがセンスよく、エコロジカルに工夫されて
取り入れられています。

日本人ならではの発想。池を眺めながら畳でごろり。最高に和みます。

裏庭にある4つの池がつくる水辺は見た目に美しく涼しげなだけでなく、
バイオジオフィルター的な役割を担っています。

それぞれに段差をもうける事で、あふれた水が下の池に流れ、植物によって
浄化され、最終的には地下に埋めてある貯水タンクに流れ着き、
その水さえもポンプでガーデンにあるタンクにくみ上げられ、
庭の散水に使われています。

Jarlanbah コミュニティの歴史と概要を少し解説すると
1993年にこの土地の所有者がパーマカルチャーデザイナーであるロビン・フランシス
という女性に相談し、ここを真にサステナブルな住宅地として開発しよう
と取り決めたのがことのはじまり。

総敷地面積55エーカーの土地を43区画に分譲、
1世帯あたり0.5ヘーカーが販売され、
YOKOさん夫婦も当時の価格で400万円で購入(土地のみ)し、
Nigel が家のデザインと設計を担当。

コミュニティの共有地としては、植林地、農地、灌漑用ダムがあり、
住民は年間$840の自治会費(管理費)を納め、共同で土地の管理、
メンテナンスを担当することが義務づけられています。


家からはこの眺めと開放感。言うことありません。

共有地へは自分の家から車に乗らなくとも行き来できるよう
徒歩でアクセスできる距離に設置されています。

Jarlanbahのコミュニティがユニークな点としては、以下の3つの規則が
あげられるそうです(解説By YOKOさん)

1)水の自給自足

上下水道につながっていないこのコミュニティでは、各家庭の生活用水と
生活排水は、自分の区画内(0.5エーカー)で管理、処理しなければならないこと。
YOKO さん宅では、11,000ガロンのタンクが3個設置され、生活用水はタンクに溜まった
雨水を利用。トイレやバスルーム、キッチンなどからの生活排水は浄化システムと
植生を通って、リサイクル、再利用され、循環しています。

2)消費電力の規制

オーストラリアの一般家庭の平均消費電力60アンペアの3分の1、
20アンペアまでしか使用することしかできません。
つまり、余分な電力は使わない家のデザインにする必要があり、、
夏は涼しく、冬は暖かいパッシブソーラーハウスとして工夫されています。
YOKO さん宅では最初ソーラーパネルを9枚屋根に取り付けていたそうですが、
3人家族(息子さんが1人)の電力需要をまかなう事ができず、
いまでは、グリッドにつなげ、且つバッテリーを併用し、
ソーラーでためた余剰電力を電力会社に売電しているそうです。

3)ゴミのリサイクル

コミュニティへは市によるゴミ収集がありません。
つまり、各家庭から出るゴミはすべて自分たちで処分、または
リサイクルしなければならないということ。どうしてもリサイクルできないものは
市のゴミ処理場(何十キロも先だとか)へ自分でもっていき、お金を払って
引き取ってもらう事もできますが、そんなこと毎週毎週、面倒でできませんよね。

だから、生ゴミはコンポストし、リサイクルできないものは、
そもそも買わない、というシンプルなライフスタイルに自然に
シフトせざるを得ないわけです。


コンパクトで機能的にデザインされたお庭にはたくさんの野菜と鶏たち

そして、各家庭に、必ず一人はパーマカルチャーデザインコースを
受講し、真に理解したうえで、サステナブルに家とまわりの環境をデザインする
というコミュニティのポリシーがあり、土地の販売価格に
受講料も含まれていたというから驚きです。

こんな素敵なコミュニティがあったんだーと感心してしまいますが、
やはりこれだけ濃厚な暮らしで、意識の高い人たちが集まっていると
それはそれでいろいろな問題や煩わしさもあるようです。

自治会が組織され、各サブコミッティーのミーティングや
年次総会などで円滑にコミュニティ内の規則、規律、
が協議、共有されるようですが、結局は人間同士、
意見や価値観の相違はさけられず、また、このコミュニティ内での
職をあてにして移住してきたにもかかわらず、コミュニティビジネスが
成り立たず、結局は現金収入がなく、都会に戻っていく人も
少なくないようです。

そんな現状をみてきたNigelは、精神的、身体的、経済的に
サステナブルな理想のヴィレッジの実現に向けて、
自分たちが描くビジョンを聞かせてくれました。

Jarlanbah から車で5分。この11ヘクタールの土地(既に購入済み)に
将来50世帯分の住宅とコミュニティを建設、開発したいといっていました。

昨今の経済不況で投資家も慎重になってきているので
現在はプロジェクトが保留になっているそうですが、
将来がとても楽しみ!
*詳しくはこちらのウェブサイトをどうぞ。

YOKOさん宅にはたくさんの日本人ゲストやウーファーが訪れているそうで、
私たちが訪れたときも、明治大学の辻信一先生のゼミ生のかえちゃんが
半年間大学を休学してオーストラリア&ニュージーランドの旅の途中で
ホームステイしていました。

私とココちゃんは初対面であるにもかかわらず、
YOKO さんとNigel の暖かいおもてなしとホスピタリティに
すっかり甘えてしまい、夜はみんなで豆乳鍋を囲み
私はそのまま、ちゃっかりお泊まり。

まるで日本の旅館にきたような、ほっこり感。
かなりぐっすり眠れました!

翌朝は、かえちゃんに実験台なってもらい
ヨガレッスン。

朝食を頂き、たまったメールをチェックして、


ネットで仕事ができればこんな素敵な場所に住むことも夢じゃないかも

最後にみんなで記念撮影

YOKOさん、Nigel、お世話になりました。
ほんとうにありがとう!

たった2日間のトリップでしたが、またまたディープな
エコロジカルライフスタイルを垣間みる事ができ、
インスパイアされ、自分の理想の暮らし、ライフスタイル
のビジョンがさらに膨らみました。

パーマカルチャーについて学んではいるけど、
それを実践するのは、もちろん、一昼夜で完成するほど
簡単なことではないし、気候や風土、文化、慣習などにあわせて
フレキシブルに適応して、自然を観察しながら、自然に学びながら
じっくり、ゆっくりとやってみて、はじめて自分事として
しっくりきて、やがて自分流にアレンジしていけるようになるんでしょうね。

そして、Nigel に指摘されて、改めて「そうだな」と強く感じましたが、
パーマカルチャーが教えてくれる基礎的なことは、理念的、哲学的、理論的なことが多く
多くの現象、取り組みが実証データとして数値化されておらず、
経済的にどうペイするか、費用対効果など、環境経営学の要素が
抜けています。もちろん、さらに深めたい人は、実践と経験を積んで
その知識を磨いていけばいいのだけど、いまの世の中、
数値化できないもの(=管理できないもの)は、よくも悪くも
効果測定ができないので、なかなか成功モデルがないのも実態ですね。

だからといって、すべてをビジネスマインドで効率性や生産性を考える必要はないし、
むしろ、数値化できないものにこそ価値があって、そういうプライスレス、
プリミティブな感覚を取り戻す必然性に迫られている、という現代人の皮肉な
実態もあるわけで。

まあ、何事もパーフェットなことはなく、
試行錯誤しながら、究極的には
楽しくできればいいと思うのだけど。

道のりは難しく、長そうです。

ニンビンに別れを告げ、
再びバイロンへ。

一足先に日本へ一人帰国してしまうココちゃんは、家族との別れを
惜しみながら、ビーチで思う存分遊んでいました。

自然児(野生児?)テラちゃんもご機嫌。

ココちゃん、イエロー君、テラ、ありがとう。
いつか一緒に自分たちのパラダイス、つくれたらいいね!