実に2年ぶりに!!長期休暇(といっても1週間)が取れることになった旦那さん由和の予定にあわせて、旅にいってきたました!

行き先は、2010年世界で最も暮らしやすい街の第3位にランクインしたオーストラリアのメルボルン!(Global Liveability Report 調べによる)。メルボルンを選んだ理由は、後ほど詳しく。


市内を流れるヤラ川

大学のウィンドサーフィン部時代の後輩ハルが奥さんのかおりちゃんと椋晴くん(2歳)を連れ、今夏からメルボルン大学へMBA留学をしているので、持ち前のチャッカビリティーを存分に発揮し、数日間お世話になってきました。日本からたっぷりとお土産をもって。

3人が住むのは市内中心部の高層タワーマンション45階!!街が全方位的に見渡せ、日の出から日没までおてんと様の動きがわかる。眺めは最高ですが、足がすくむ高さです。

季節は日本と逆で夏の終わり。朝晩は冷え込むが、日中の気温は25度を超え、日差しはジリジリと照りつけるようにアツイ!雪降るさむーい日本を脱出できてバンザイ!

到着日は、ちょうど Sustainable Living Festival の最終日。
スーツケースを置いて、閉会まであと2時間!というタイミングだったのでダッシュでブースチェック。

残念ながら時間がなくて参加できなかったけど、食、デザイン、モビリティ、エネルギー、などさまざまなテーマのトークイベントも充実。

こちらは、パーマカルチャーNPOによるディスプレイ。

都市に住むメリットはその利便性にあるけれども、家賃が高い問題はここメルボルンでも一緒。東京では最近シェアハウスなどが人気を集めていますが、メルボルンでもコーハウジングが盛り上がっているようです。それぞれのプライバシーは必要だけど、どうせなら大きいキッチンでみんなで料理できたり、大きいリビングや広いお庭でパーティーなんかできたりしたら、経済的だし楽しいはず。日本のように土地が高いうえに国土が狭い国こそ、こういった新しい形の住まいとつながりのあるコミュニティが増えればいいのになー。

ブースをひと通り見終わったあとは、ヤラ川の南に広がる市民憩いのスポット、ボタニカルガーデンまでお散歩。さすが、暮らしやすい街第3位のメルボルン。公園や緑がおおく、そのなかでもここボタニカルガーデンは、青々とした芝生が広がっていて、思わず靴を脱いではだしで歩いてみたり。大人が気持ちのいい暮らしやすい街は、きっと子どもにとっても楽しい環境。椋晴くんも大はしゃぎ。


野外ステージもある

こんなに気持ちのよい公園があって天気もいいとなれば、気分はピクニック!オーストラリアが大好きな理由のひとつに、たいていの公園にBBQグリルが設置されていて、しかも、無料で使えること!台数もけっこうあるので、グリルが見つからないなんてことは滅多にない。日本にもBBQ公園はあるけれど、たいてい予約制(しかも使用料もかかる)で、混雑していることが多い。無料でこのサービスがあるなら、使わない手はありません。家を出発して24時間、静かな日曜の昼下がりは、ヤラ川の川辺で心地よい風にふかれながらのアウトドアランチ。おしゃれなレストランでとる食事よりも、こっちの方が断然おいしいし、幸福度は100倍。日常的な光景の中に流れる、シンプルだけどリッチな時間。自然や身の回りに既にあるモノを使ってお金はかけずして、満たされた気持ちになれるオーストラリアにはまりまくっています。


慣れた手つきのハル。となりでは、学生らしき地元の若者たち

食材の買い出し中。2歳6カ月の椋晴くんは、よく、走る!しゃべる!食べる!たくさん一緒に遊んだね。

毎晩、私たちの寝床にやってきては、

りょーちぇーくんも、いっちょにねるのー
よししゃんと、(ひ)ろみちゃんと、りょーちぇーくんと、いっちょに。 

というのが、たまらなくカワイイ!!
*ポイントは、「のー」を強調して言うことです。
夫婦そろって、すっかり椋晴マジックにやられ、いまでも我が家では彼のモノマネがブームです。

旅の中盤は、数日間都会の喧騒を離れて、メルボルンから車で海岸沿いを約2時間、ポート・フィリップ湾の東側を囲うように延びたモーニントン半島へ。自然豊かなリゾート地としてダイビング、サーフィン、トレッキング、釣り、などのアクティビティのほか、涼しい気候と良質な土壌からうまれる上質のワインが有名な土地です。

今回のステイ先は、ワイナリーで有名なレッドヒル地区の森の中に位置するコテージ風B&B、Cedar Croft.。専用キッチンがついた1ベッドルーム。オーナー夫妻は2階に住んでいて、玄関は別々に設けられているのでプライバシーは確保されています。残念ながらカップル専用、子どもはお断りとのこと。

室内は、WiFi 完備でメールチェックもなんなく。ノマドワーカーにぴったり!

朝食は、外で頂きます。

モーニングトン半島は、東から西まで20分もあれば車でサッと横断できてしまうこじんまりとした島です。海沿いに、森の中に、かわいらしい町が点在し、遠浅の白い砂浜がつづく明るいビーチタウンのRyeやSorrento、ワイナリーのRedHill、それぞれに小さなコミュニティがあります。

昔ながらの古い建物をそのまま生かした農産物の直売所や、地元の人々が集う小さな小さなカフェや焼きたてのパンのいい香りが漂う小さなベーカリー、自家製チーズのお店。週末だけオープンし、営業時間も11時ー5時。商売っ気ゼロの、全てがのんびり、スローな時間が流れる場所です。


森の中にひっそりと建つ農産物の直売所

中は、こんな感じで、地元で採れた新鮮な無農薬野菜やフルーツを加工したジャムなどが売られている。

レッドヒル地区にある数多あるワイナリーの中から、平日のランチがオープンしていて、ワイナリー以外で面白い取り組みをしている、Montalto Vineyard へ足を運んでみることにした。

広大なぶどう畑の中にぽつぽつと見えるのは、地元アーティストによるスカルプチャーの展示。ここでは、定期的にアートエキシビションを開催していて、ワインを飲みながらクリエイティブアートの鑑賞もできる場所として人気のようです。

もちろん、ワインのテイスティングも。店員の方に勧められるがままに試飲していくと、5杯ぐらい飲まされ、由和はすっかり酔っ払った様子。お土産に、Shirazとオリーブオイルを購入しました。ちなみに、私は、「モノスゴイお酒飲めそうだよね」と言われることが多いけど、自分でもびっくり、まったく飲めません!したがって、いつもドライバー役。それにしても、みんな昼間からたくさん飲んで、飲酒運転だけど、問題ないのかなー?笑。あーー私も気持ちよく酔っ払ってみたい!!


平日の昼間、森の中だというのに、客足は途絶えません。

ここのワイナリーでは、ブドウ畑のほかにオーガニック菜園もあり、そこで採れた新鮮な野菜をベースにしたお料理が併設されたレストランで頂けます。お値段は少々はりますが、こちらも美味!

そして、忘れちゃあいけません、サーフィン。もちろん、しましたさ!
昨年のサーフライダー国際会議で出会ったサーフライダーオーストラリア理事、Rexを訪ねて、ボードとウェットスーツを借りて、誰もいないポイントで貸し切りサーフィン!今回は、風がややサイドオン、波は腰ぐらいでちょっとジャンクでしたが、水はあたたかいし、友達と二人っきりだし(由はお休み)、もうそれだけで、あーなんて気持ちがいいの!幸せだー!と叫びたくなるぐらい。下の写真は、実際にサーフィンしたポイントではないけど、気持ちのよさそうな海のイメージは伝わるかな。ここも素晴らしい波がたつんですって。むーこれは、いつかリベンジせねば。

サーフィン以外にも、マウンテンバイクをレンタルして、Point Nepean 国立公園を散策。、前夜の残り物とあまった朝食をさと詰めて、いざピクニック!

この国立公園は、もともとは第一次世界大戦のドイツとイギリスの開戦をきっかけに、ビクトリア州の砦として要塞が作られた場所で、大砲など要塞の跡地がある。一般市民に開放されるようになったのは最近のことで、いまでは自然保護区となっています。

旅の後半は、再びメルボルンへ。碁盤の目状になった街は、のんびりお散歩するのにちょうどよい広さのコンパクトシティ。交通手段として市内にはトラム(有料と無料がある)、バス、地下鉄が発達しているので、車がなくとも快適に暮らせる。自転車専用レーンもあり、サイクリストも多い。


市内には、ビクトリア様式の立派な重々しい建物も多い。こちらは、図書館。古きものを大事にしながら、新しいものを受け入れて独自の文化を作ってきた街だ

街を歩いていて一番驚いたのは、実に多国籍であること。もともとオーストラリアは国として移民政策を積極的に行っていることは知っていたが、メルボルン市内には、中国、ベトナム、台湾、韓国、イタリア、ギリシャ、フランス、スペイン、アラブ、など、小さなコミュニティがたくさんあって、裏道に入ると、「ここどこ?」みたいな、異国情緒あふれる感じでB級グルメが充実!特に目立ったのは、中国、韓国、ベトナムなどのアジア系で、しかも留学生や移民2世と思われる(オーストラリア訛りの英語を話していたので)、若い子たち。ハルが住む高層マンションのほとんどの借り手はアジア系の学生だという。確かに、エレベーターであう子たちは、まるでそこが学生寮かのように、部屋着で互いの部屋を行き来している様子でした。

ハルやかおりちゃん、Rex 以外に、もう2人、ステキな友達にも会ってきた。greenzで 昨年企画した アーバン・パーマカルチャーのセミナー講師、Cecilia Macaulay と 昨年5月のTEDxTokyo スピーカーとして来日していた Food Philosopher, Sherry Strong との再会。


左から Cecilia, Sherry, Cecilia の同居人Lon(日本人)、由和

Cecilia が住むかわいらしいタウンハウスに集まってランチパーティー。

都心にありながらも、玄関の前にはスパイラルハーブガーデン、裏庭には果樹やプランターで野菜を育てていたり、パーマカルチャーのコンセプトに基づいたランドスケープデザイン、エネルギーが循環するデザイン、空気の通り道、気の通りがなんとも気持ちのいい家でした。


Cecilia の叔母さんMargaret (中央)もランチパーティーに参加してくれました

あ、あと人に会ったとえいば、Twitter で知り合ったメルボルン在住の@W-E-C-A-N さんとも急遽お会いして、情報交換をしたり。メルボルンにいることをつぶやいたら、DMが来たという感じです。おそるべし、Twitter.

今回の旅は、日ごろ働き蜂のように忙しい由和にとって久々の休暇だから、のんびりしたいね、というのも目的だったけど、実は、もう一つ重要なミッションがありました。

私は幸い好きなことを仕事にして、たぶんとても恵まれた環境で働いている。でも、みんながそういう働き方をできるわけじゃない。好きなことを仕事にしたくても現実問題、いろいろな事情があってできないでいる人が多いかもしれない。あるいは、好きなことがわからずに、なんとかしたいと思いながらも、なんとなく働いている人も、かなしいかな、多いのかもしれない。たぶん、いまの日本社会のサラリーマン構造は、後者に近いと感じています。

仕事が忙しくて、日々の業務に追われていくと、けっこう人って思考停止に陥りやすい。仕事の延長で、自分のキャリアや未来について考える機会はあっても、現実から少し離れて、【自分が住みたい未来の社会】というもっと大きな視点で、ビジョンを描き、イメージを膨らませ、その中での自分の立ち位置、役割、みたいなことに想いを馳せる時間なんて、なかなかとれない。

由和もそんな一人。ただ、1年ぐらい前から、純ジャパの由和は、「留学して世界観を広げたい」というのが、なんとなくの目標になり、週1回英語学校に通い始めてみたり、留学に関する書物を読んでみたり。ただ、時間がないなかで、具体的にイメージを膨らませるのはどうしても難しいので、実際現場を見に行ってみよう、ということで計画されたのが今回の旅。

ハルに案内してもらってメルボルン大学とビジネススクールを見学したり、グループワークをチラ見させてもらったり。

さらに、足を延ばして市内から電車で北に40分、事前に日本からアポを取ってNorthern Melbourne Institute of TAFEという職業訓練専門学校へ、ワイン醸造学のコース説明を聞きにいったり。

私もかつては、グローバル企業のサラリーマンの端くれとして、キャリアウーマンを夢見ていたから、由和の不安や悩みはよくわかる。この仕事をこのまま続けていって、こういうキャリアパスで行けば、こういう人生が(おそらく)まっていて、こういう人間に(おそらく)なれるだろう。

と考えていた。というか、考えるようになってしまっていた。

でも、ふと気がついた。

人生は、仕事以外の楽しさもいっぱいある(あたりまえだ)。
人生は、一回しかない(あたりまえだ)。
だったら、自分の人生ぐらい、自分で決めて好きに生きたらいい(あたりまえだ)。

私の場合、高校生からダイビング、大学ではウィンドサーフィンを通して、すっかり海の魅力にはまり、サーフィンと出会ってしまってからは、海とのつながりや、自分が自然の一部であること、自然に生かされていることを一層そう強く感じるようになった。そして、波がいい日に(仕事があるから)海にいけないなんて!もっとうまくなりたい、世界のいろんな波に乗るためにサーフトリップに行きたいのに(仕事があるから)いけないなんて!!!

意味がない。

だから、私の人生の究極の目的は至ってシンプル。毎日サーフィンをして、しっかり海や大地とつながり、自分の細胞が活き活きとするような、五感が研ぎ澄まされるようなムリ、ムダのないシンプルな環境で暮らしながら、、きちんと社会ともつながって成り立つ仕事をライフワークにしたい。

もしそのチャンスがあるのなら、その選択ができるのなら、その強い想いがあるのなら、あとは踏み出すだけ。でも、言うは易く行うは難し。一歩踏み出すのは、勇気がいる。しかも、それが人生を左右するような決断であれば、なおさら不安は大きい。でも、サラリーマンに一度ピリオドを打つ始めの一歩は勇気がいる決断だけど、大丈夫、その後の無限の可能性から考えれば、たいしたことじゃない。

数日もすれば何事もなかったかのように、自分がいたポストには後任がきて、仕事は片づけられ、組織はまわっていく。私も大企業で働くダイナミズムや緊張感が刺激的で、自分がその一端を担っているという責任感とプライドも多分にあったけど、いつも地に足がついていない感じがした。何百億円というプロジェクトを受注するよりも、数十万円でもいいから、もっと顔が見えて、自分らしさが活きる、自分にしかできないライフワークを見つけたかった。確かに一歩踏み出すのは、勇気がいった。

仕事観や世界観に疑問を抱きながらも、とりあえずサラリーマンを続けること、1年。
自分に何ができるのか、何が本当にしたいのかわからず、悩みながら淡々と仕事をこなすこと、6カ月。
やっとエイヤ!と重い腰を上げて、違う世界を見ようともがくこと、6カ月
ついに転職活動をしはじめ、運命的な出会いで面接にうかっても、
くだらぬプライドで一歩踏み出すまでに悩むこと、3カ月

長いトンネルだった。

自分にしかできないこと。生きることへの根源的な問いかけに対して、ぼんやりとしたビジョンとなんだかわからないけど妙な自信とヤル気みたいなものはあった。でも、何ができるなんて、わからなかった。でも、一歩踏み出さなければ、何も始まらない。そして、一歩踏み出したその先に待っていたのは、私の決断が間違っていなかったことを教えてくれた人生の師匠ゆかりさんとの出会い

そんなふうに、悩みに悩んで見つけた答えの先に、神様はまるでずっと前からわかっていたかのように道しるべを用意して待ってくれているんだなーと思った。

由和も時間がかかるかもしれない。本人は、時間がないとも言っている。けれど、由和も私も尊敬してやまない大切な友人の大裕が、
「時間がない、といって悩めることは幸せなことだよ」
と教えてくれた。

そうか。
漠然としていても、こうなりたい、何かをしたいと思う向上心やビジョンから、自分にはきっと何かできるはずと思い、だからこそ焦ってもがくのは、現状に満足してビジョンを描けない(描こうとしない)よりは幸せかもしれない。

そんなわけで、メルボルンを旅先に選んだのも、きちんとした目的があった。ひとつは、由和がいまのコンサルタントとしてのキャリアアップを目指すのなら、MBAという肩書と英語力を身につけるのが狙いだ(個人的には、MBAというステータスがすでに、オールドパラダイム、旧態依然の資本主義、グローバリズムだと思っているが)。ハルが在学中にオーストラリアでも1,2位を争う優秀なメルボルン大学を案内してもらおう、という目的。
*本人は、これが主目的。

ふたつめは、サラリーマンに見切りをつけて、海外へ飛び出して、違う世界観のなかで、好きなことを仕事にするイメージをもつ、という目的。
*私は、こっちが目的。

この好きなこと、というのは、実はまだはっきりと決まっていないのだけど、由和が最近ハマっているのが、ワイン。全く飲めない私と違って、お酒はなんでも好き。特に、最近はオーストラリア産の赤ワインがお好きなようで、飲み比べたりなんかしている。そこで、調べたところ、オーストラリアにはワイン醸造学という学問があって、専門機関や大学の修士課程で学べ、学位取得後は、ワイナリーの経営やワインの製造販売元、マーケティング会社などへの就職率も高い。

MBAより、だんっぜん!ワイン醸造学!!

と鼻息荒くなった私は、さりげなく、入れ知恵をして、ふたつめの目的をもってメルボルンを視察してきたのでした。もしかしたら、もしかして、数年後には、自分たちがここに住んで学び、暮らしているかもしれない、という妄想を抱きながら。

とはいっても、まだ何も決まったわけではない。私はアシストはできても、進むべき道を決めるの本人だから。けれども、ハルがかおりちゃんや椋晴くんに対してそうしているように、数年間学生に戻って、一緒に子育てしたり、家族と向き合う時間をきちんともつのは、キャリアに響いてマイナスととらえるより、人生という長い時間のなかでは、人間として健全で賢いプラスの投資だと思う。

旅をすると、見知らぬ土地でいろんなことを見て聞いて、新しい出会いがあって、その非日常的な空気感に陶酔してしまう。でも、それって実は、自分の日常や、実世界における役割だとか、行動、精神や肉体のありかた、とのつながりのなかで起りうることであって、全ては偶然で必然的。旅は、そういう確信のループを高速に回転させて、巡り巡ってやっぱり原点にかえらせてくれるものだと思う。

メルボルンの旅は、私たちにとって、これからの二人の生き方、暮らし方、働き方、それぞれの、お互いの人生の目的を改めて考えるいいきっかけとなりました。

お世話になったハル、かおりちゃん、椋晴くん、改めてありがとうー!