GUYが働くNELHAを視察してきました。


ひと際目立つデザインのビジターセンター

世界で33か所、全米で17か所しかないといわれているグリーンビルディングの環境配慮基準LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)の最高ランク、プラチナを受賞しています。

NELHA(ハワイ州立自然エネルギー研究所)の歴史は、1973年のオイルショックを機に、石油に依存しないエネルギーとインフラを開発しようと翌年ハワイ州政府が keahole point の322エーカーの土地に設立された時から始まります。

NELHAは、海洋深層水について世界で最も長い研究実績を持っていて、海洋資源利用の研究所です。コナ空港のすぐ隣にあり、ここにはアメリカを中心に、日本の企業をふくめ、現在34社がはいり、海洋技術研究の最先端の取水、ろ過、再生可能エネルギーの研究開発がおこなわれ、250人がグリーンカラージョブに従事しています。また、くみだされた海洋深層水を使った水や塩、サプリメントの研究製造、魚介類の養殖なども行われています。


NELHA近くのビーチはご覧の透明度!


完成予想図。現在は左側のビジターセンターがあるだけ


数年後には、新たな研究所が完成する

ビジターセンターはエネルギー効率に優れ、冷暖房は、ソーラー煙突という仕組みを使っています。図解すると↓ ですが、屋根にひかれた銅版が太陽の熱であたたまり、その熱を煙突を使って放出すると同時に、海洋深層水をくみ上げ、床を冷却する仕組みになっているのだそう。おかげで、クーラーは入っていないのに、室内はとっても涼しい!

さて、この冷たい(5℃くらい!)海洋深層水を取水するには、太いパイプを海底までつなげなければなりません。パイプの全長(海底の一番深いところまで)9000フィート(2.8km)、パイプの直径は140cm!コナ沖の海域は、海岸付近の水深が急激に深くなる海洋深層水に最も適した場所で、日本では例を見ない深さまでパイプをつなぎ、毎分約5.6万リットルの深層水をくみ上げることができるそうです。

この冷たい深層水のおかげで、コナの乾燥した土壌では育たないイチゴなどが栽培可能となっています。


黒いホースから深層水が流れ出し、土壌はひんやりしています

また、NELHAは、世界ではじめてOTEC (Ocean Thermal Energy Conservation)という、海の表層と深層の温度差を利用して発電するシステムを開発、実証したところでもあります。

NELHAに入居するグリーンビジネスの一つ、biopioの姉妹会社でもあるh2technologiesは、近い将来、ここに水素ステーションを建設し、石油に代わる再生可能エネルギーへのパラダイムシフトを目指しているんです。その第一歩としては、なんとハワイ州政府は、水素社会へ移行する法案を可決し、h2techに対して、研究開発補助金をとしてSpecial Purpose Revenue Bond (特別歳入担保債)の発行、借換えを行うことが決まっています!(法案原文はコチラ


水素エンジンにコンバートされた原付き。実際ちゃんと走ります

ハワイイ島は、太陽熱、地熱、風力、バイオマス、海洋エネルギー等の再生可能エネルギー資源の世界有数の宝庫でもありますが、いま最も注目されているのが、なんといっても「水素」!豊富にある水資源を電気分解させ水素を生産することによって、ハワイは水素社会への移行を法律で宣言しちゃっているんです!。これは、再生可能エネルギーの開発によるエネルギーの自給自足、真にサステナブルな社会、グリーンエコノミーを望むハワイイ州の長年の夢なんだそう。

じゃあ、水素社会のメリットってなに?ってことですが、

■発電や輸送に使用されるガソリンやディーゼル等の輸入された化石燃料に対するハワイの依存度を削減し、その結果、ハワイイのエネルギー安全保障が向上する。
■島内で生産された再生可能な水素を用いた家庭や職場でのエネルギー生産を促進することにより、エネルギーの自給自足、しいては、経済が自給自足可能となる。
■CO2の削減に貢献する
■エネルギーと輸送コストを低下させることにより、ハワイでの商業コストを削減する。

そのほか、きっと科学的、理系的な根拠とメリットはたくさんあるんでしょうが、私はこの分野はまだ勉強不足でテクニカルは弱いもので、これぐらいにしておきます。

食糧危機とエネルギー危機を迎えた21世紀。それによって引き起こされる戦争、格差、貧困などの社会問題。

エネルギーを自給自足できるようになれば、ほんとうに世界は変えらえるかもしれませんね。

ハワイイ島、NELHAに今後も期待!