長らくブログを放置してしまいましたが、ようやく、少し落ち着いて物事を整理、言葉に書き落とせる気持ちになってきたので、改めてご報告と御礼をしたくて、長文ですが、備忘録としてあの日の出来事を書き残しておきたいと思いました。
Facebookやインスタでは、既にお知らせしていましたが、7月7日、よく晴れて波もとってもいい日の午後、不運にもレモン君がサーフィン中に事故に遭い、首の骨の一部(C5) 頸椎を損傷するという大怪我を負いました。
たまたま仕事が早く終わって、二人でいそいそと海へ向かいました。予想通り、波はよくて、海の中もたくさんのサーファーで賑わっていました。私たちも、ソワソワしながらウェットに着替え、沖へパドルアウト。沖で4ftぐらいのサイズある波が割れていて、少し緊張しながらラインアップへ向かったのを覚えています。
あまりに混んでいて、波も取れないので、私は少し離れた場所で様子を見ながら波まち。
しばらくはレモン君も近くにいて視界に入っていたものの、気がついたら彼はそばにいなく、ふっと目をやるとインサイド(岸の方)に彼の姿が見えました。「混んでいるから移動したんだろうな」ぐらいに思っていて、私も沖でそのまま波乗りしていました。
また少し経って、岸の方に目をやると、今度は彼が、海に背を向けて立って友達たちと話している姿が見えました。
「混んでいるから上がったんだな」と思い、私も、波に思うように乗れず、ヤキモキしていたので次の波で上がることにしました。
それでもなかなか思うように波を取れず、やっとのことで岸に近づいても、レモン君は私の方を振り返ることもなく、棒立ちしたまま。
その時に、何かがおかしいと思い、不安になりながら彼のそばへ駆け寄りました。
彼は私の方を見ることもせず(見ることもできず)ただただ前を見据えて、ショックで震えていました。
たまたま目撃した友人と彼自身の記憶によると、彼が乗っていた波に前乗りした人が予想外の動きをとり、二人ともバランスを崩し、相手の板がレモン君の後頭部を目掛けて降ってきたそうです。
ちなみに、サーフィンのルールでは、一本の波に原則一人しか乗れず、先に、奥から乗った(立ち上がった)人に優先権があり、それ以降に乗ろうとする人(前乗り)は完全なるルール違反です。
もちろん、先に人が乗っているのを知らなかった、見えなかった、など前乗りを不意にやってしまう間違いは誰にだってあります。でも、こうした危険な接触事故を防ぐためにも、前乗りしてしまったら、早々と波から降りて、乗ってくる人の邪魔にならないようにするのがマナーです。
一歩間違えば、首の骨を折ってそのまま溺死、という事態も想定できたぐらいの大事故でした。
衝撃のショックで海の中で一瞬、気を失ったそうですが、瞬時にサバイバルモードがキックインし、自力で水面まで上がり、幸い、意識はあり、手足は動かせたのでなんとか浜まで上がれたそうです。
事故を起こした相手の男性が救急車を呼んでくれたものの、救急車がビーチに到達するまでは気が遠くなるほど、長かった。
たぶん、1時間以上はビーチでウェットのまま、震える彼の手を握りながら、私も事態がよくわからず、ただただ、早く助けが来てくれるのを待つだけでした。ビーチに居合わせて友達もずっとそばにいてサポートしてくれたおかげで、私も、その場はなんとか正気を保てていました。
ようやくビーチまで四駆の救急車が乗り入れてくれて、彼を慎重にストレッチャーの上に乗せて、私も、そのまま救急車に同乗してバイロンベイホスピタルの救命棟へ搬送。
レモン君は、相当なショックは隠せないものの、終始それはそれは立派に、気丈に振る舞い、落ち着いて、弱気になることもなく、病院のベッドで待機。
事故が起きたのはたぶん午後3時過ぎ、病院に運ばれたのは夕暮れ時の午後5時過ぎ。
救命棟といっても、大病院ではないので、待機している医者がたくさんいるわけでもなく、看護師が数名いる程度でCTスキャンに運ばれたのは午後9時ごろ。事故から6時間以上が経過し、私は不安と恐怖で超ぐったり。
私はウェットスーツからは着替えたものの、二人ともまだ砂まみれ。レモン君に至っては、応急処置の際にお気に入りのウェットスーツをざっくりと切られ、毛布を掛けられた状態で下は素っ裸のまま。これが夢であって欲しい、と何度も思いました。
CTスキャンの診断結果をナースが告げにきたのは午後10時過ぎ。C5の頸椎損傷、及びC6の損傷も可能性があるかもしれないということで、より精密なMRI検査のため、1時間北に行った大きな病院ツイード病院への搬送が決定。
が、搬送の救急車も出払っていて、また待つこと数時間。この時点で私は疲れ切っていて、ツイードに付き添いに行っても寝る場所もないので、とりあえず家に帰宅、待機することに。
この日の数時間がものすごーーーーく長く感じられ、一人で家に帰宅した時の悲しみと不安は、今までに味わったことのない感情でした。
翌日、彼からの電話を受けてツイード病院へ。再開したレモン君は、落ち着いていて思ったより元気そうでしたが、首には窮屈そうなギブスをはめられ、寝ているのも辛そうでした。
MRI検査の結果、最悪の事態は免れ、C5を損傷という首の骨の怪我の中では、まだましな状態ですみました。お医者さんにも、とってもラッキーだったと何度も言われ、不幸な出来事だったものの、ギブス着用3ヶ月、全治6ヶ月程度との診断でした。
とは言え、これまで健康だった人が急に身体に障害、不自由を強いられ、生活はいっぺん。
その身体的な苦しみと痛み、精神的な不安、葛藤、怒り、トラウマ、いろんな感情が入り混じり、そばで見ている私も精神的にとっても辛かったです。経験したことのない極度のストレスで、いつもはぴったりとくる順調な生理がその月は来なかったのを後から気がつきました。
「なんで彼がこんな目にあってしまったんだろう」
行き場のない悲しみと不安で、毎日をやり切るのが精一杯でした。
陸での事故、例えば、交通事故などど違って、海でのサーフィン事故責任は曖昧なもので、残念ながら、ある程度、「お互い様」的な感じがあります。正直、今回の事故は、事故ではなく事件だと思っていて、私たちとしては、相手の過失としか考えようがありませんが、その人を責め立てたり、悪者にすることはしたくないと思って、できるだけ感情的にならず、丁寧にこちらの状態と気持ちを説明し、誠意を持って接することを心がけていました。
誰かを責めたり、怒ったりするのは簡単なことです。そうしたい気持ちはありました。
かといって、その過ちを許す、ということでもありません。実は、許すことの方が相当のエネルギーを使い、真の強さ、優しさ、慈悲深さだと思うのです。
でも、私たちは、そこまで強くなれず、毎日、悩みながらも、気持ちが揺れながらも、その中間の気持ちをなんとか見つけ、まずは、負のエネルギーに振り回されることなく、ポジティブにリハビリに専念することにしました。
レモン君は、もともと人に頼ることが苦手、嫌いなタイプで当初は反対していたのですが、私は迷うことなく、クラウドファンディングを立ち上げることを決めて、彼をなんとか説得。
これから先、数ヶ月働けない間の生活費の補填とリハビリの費用をファンドレイズできたら、金銭的なプレッシャーも少しは軽減できると思って。
立ち上げから3日程度で、当初目標額としていた$5,000 をクリアしそうになり、急遽、目標額を$8,000に。
とっても嬉しいことに開始1週間で目標額をクリアし、そのまま伸び続けていました。
予想外の人々の支援にパニックし始めたレモン君は(笑)、申し訳ないと思い、$9,000を超えたところでストップ。
最終的なファンドレイズ金額は、$9,373 !
この場を借りて、ご寄付して下さった方々に御礼申し上げます。
以前、SNSに書いた感謝文を、改めて、ここに記します。
Thank you everybody for your very generous donations.
The goal was reached and yet still people were willing to give.The response was truly humbling. We feel blessed to receive so much support from dear friends locally and abroad, many of whom have never met Damo.The money raised $9,373 ! has eased the stress during this uncertain period allowing Damo to focus on the healing journey.The support by the local community was not limited to donations. Many dear friends delivered home cooked meals , care hampers and uplifting gifts.We are truly grateful for all of your support. You have all touched our hearts and your generosity will not be forgotten.
Thank you so muchHiromi & Damien
この場を借りて、今回のファンドレイズにご寄付、ご協力してくださった方々に改めて御礼申し上げます。予想を遥かに上回る皆様の暖かいご支援に、ただただ感動、感謝しています。国内外に住む友人たちのみならず、卒業以来ほとんどあっていないような高校時代の同級生まで、彼と面識のない方々もたくさんドネーションしてくれました。数日間で目標額に達したため、このプラットフォームを停止しましたが、今もなおご寄付を申し出てくださる方々がいらっしゃいます。ほんとうにありがとうございます。また、金銭的なドネーションのみならず、手作りの美味しいご飯を自宅に届けてくれたり、心温まるプレゼントや、辛い大変な時期に精神的にサポートしてくれたりなど、さまざまなかたちで助けてくれたローカルコミュニティのサポートにもほんとうに感謝しています。今回のドネーションによって彼の金銭的なプレッシャーとメンタル面を多少和らげることができ、今後はリハビリにフォーカスしていきたいと思います。現在、彼は首にギブスを着用して仕事や運転、激しい運動などはしばらくできませんが、軽い散歩や日常生活はできています。いまは自宅にて療養中、少しずつ気持ちも安定し、回復に向かっています。頂いた励ましのメッセージとドネーションして下さった一人ひとりに本来なら直接お会いして御礼を伝えるべきところですが、略儀ながら、まずはこちらにて感謝申し上げます。
ほんとうにありがとうございました。これからもあたたかく見守って頂けましたら幸いです。広美&デイミアン
事故からもうすぐ4ヶ月。
いまでは首のギブスも外れ、リハビリも順調。体力づくりのために水泳もやっています。
一日数時間の軽い仕事には徐々に復帰できていますが、サーフィンやフルタイムのカーペンターへの復帰はまだ少し先のよう。
それでも、こうして、無事に、元気に回復してくれて本当によかった。
ちなみに、事故を起こした相手とは、事故以来、実際にあって話すこともできていなく、事故のことを思い出すのも、辛い。
でも、いずれは向き合わないといけないし、お互いのヒーリングのために必要なエモーショナルなチャレンジ。
心の準備ができたら、近々話し合ってみたいと思います。
明日、何があるかはわからないから、こうした奇跡の毎日に感謝して。
↓ 事故が起きる前、友達の40歳のバースデーパーティーでの写真。少しはポジティブでハッピーな雰囲気で締めくくり。
仮装のテーマは、ゴージャス、近未来的、ギラギラ、ピカピカ!クレオパトラに扮したミングのバースデー、ロックダウン直前で盛り上がりましたー。